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こんにちは!TSUKIHOのブログへようこそ。
訪問看護の世界にどっぷり浸かって14年、言語聴覚士(ST)の私から、今日は現場で働くセラピストや看護師の皆さんに伝えたいことがあります。
皆さんは、日々の訪問の中で「この患者さん、飲み込みが怪しいな…」と不安になることはありませんか?
でも、周りに相談できるSTがいなくて、結局そのままになってしまう。
そんな悩みを解決するヒントを、TSUKIHOの視点でお話ししますね。
訪問領域では、STが圧倒的に足りていない
正直に言います。在宅医療の現場において、STの数は全く足りていません。
「飲み込みのことはSTに任せよう」と思っても、近くに専門家がいないのが今の日本のリアルな現状です。
「嚥下は専門家だけのもの」という思い込みを捨てる
嚥下障害を「STや訪問歯科にお任せ」の領域にしておくのは、もう終わりにしませんか?
頻繁に関わるPT・OT・看護師の皆さんが「嚥下のサイン」に気づけるかどうかが、患者さんの命を左右するんです。
舌は、全身の一部です
ここで少し学術的なお話を。
実は、舌は口の中で孤立している筋肉ではありません。
最新の研究では「握力と舌圧には高い相関がある」という論文も出ているんです。
つまり、手足の筋力が落ちている人は、高い確率で「飲み込む力」も落ちているということ。
全身の筋力を見ているPT・OTの皆さん、実はすでに嚥下の評価を始めているのと同じなんですよ。
サルコペニアと嚥下の深い関係
全身の筋肉が減ってしまう「サルコペニア」。
これが進むと、当然飲み込むための筋肉も痩せていきます。
「最近歩くのがしんどそうだな」と感じる患者さんは、実は喉の筋肉も悲鳴を上げているかもしれません。
アナトミートレイン(筋膜)で見る嚥下
身体のつながり(アナトミートレイン)を意識する皆さんならイメージしやすいはずです。
喉周りの筋肉は、首や肩、さらには体幹や足元まで筋膜でつながっています。
姿勢が崩れれば喉の通り道も歪む。
だからこそ、姿勢の専門家である皆さんの出番なんです。
呼吸が整わなければ、嚥下は守れない
食べることは、呼吸を止めることでもあります。
肺活量が落ちたり、呼吸リズムが乱れている人に、安全な食事は提供できません。
バイタルを診る看護師さんや、呼吸リハを行うセラピストさんの視点は、誤嚥を防ぐ最強の武器になります。
在宅医療で本当に必要な視点
私たちが診るべきなのは、喉の動きだけではありません。
・呼吸の状態はどう?
・食べる姿勢はキープできている?
・最後まで食べきる体力はある?
・今の生活環境で無理なく続けられる?
これらをトータルで診ることが、在宅における本当の「嚥下支援」です。
チームで守る、これからの嚥下
STがいないから何もできない、ではなく。
PT・OT・看護師の皆さんがそれぞれの専門性を活かして、バトンを繋いでいく。
そんな「チームで守る嚥下」が、在宅医療の未来を明るくすると私は信じています。
セラピストの皆さん、まずは明日からの訪問で、利用者さんの「握力」や「座り方」をいつもより少しだけ「飲み込み」に繋げて考えてみてください。
それだけで、救える食卓がきっと増えるはずです。
一緒に、在宅の現場を盛り上げていきましょう!
TSUKIHOでは、多職種が同じ方向を向いて支援できる「仕組みづくり」をお手伝いします。外部コンサルタントとして、客観的な視点からチームの力を最大化するパートナーを目指しています。
業務委託や単発の研修相談も承っております。詳細は下記よりご覧ください。
書いた人:楢﨑真唯子(Maiko Narazaki) 言語聴覚士(臨床経験17年)。ことばの相談室・専門職支援「TSUKIHO」代表。 病院、訪問での豊富な経験を活かし、お子様のことばの発達から、訪問看護での専門職支援まで幅広くコンサルティングを行っています。
